本郷駅前校便り

16万人の脳画像を見てきた脳科学者が教える「脳を本気」にさせる究極の勉強法(瀧 靖之著)から

教員時代から、学習法についての書物や論文を読んできましたが、なかなかエビデンスがある学習法がありませんでした。
経験則からの効果的な学習法が多く、信用しきっていないこともあり、試してみてもなかなか効果を実感できませんでした。先日Amazonで探していたところ、この本を見付け、「脳科学者」というワードにひかれて、kindleで購入して読んでいます。

実は主に大人の勉強法についての記載が多いのですが、小・中・高校生の学習に参考になると思われる内容を要約してご紹介します。

〇 睡眠不足はそれだけで脳にとっては大きなストレスである

・5~18歳、290人の脳のMRI画像の分析で、平日の睡眠時間が短い子どもは海馬の灰白質(脳内の神経細胞のある部分)の体積が小さいという結果が出た。別の研究で、海馬が小さいと記憶力が低いという結果が出ている。

勉強時間を増やすと、どうしても睡眠不足になりがちで、頭がぼんやりとする自覚はありましたが、やはり脳の働きにはマイナスに働くのですね。なかなか難しいですが、テスト前でも計画的に勉強を進めて、睡眠時間は確保したいですね。

〇 習慣や行動を変えることで、脳は能力、大きさ、形まで変わる

・「前頭前野」はアルコール摂取で委縮する。
・ストレスの多い生活も前頭前野や海馬を委縮させる。

ストレスを抱えると、精神的に辛いだけではなく、判断力が鈍ることは実感していましたが、前頭前野や海馬が委縮してしまうということです。当然、勉強にも支障が出るでしょう。保護者の皆さんが日頃からできる限りストレスを与えず、褒める指導をすることがストレス軽減につながると思います。思春期のお子様に対しては、なかなか難しいですが・・・、少し心に留めておくだけでも、関わりが変わってきます。

〇 「好奇心」は子どもの脳に限らず、大人の脳の成長を加速させてくれる

・様々なことに好奇心をもって生きている人は認知症のリスクが低い。

好奇心をもって勉強すると、定着しやすいことは分かっていましたが、「脳」が成長することにまでは知りませんでした。面白そうなこと、確かに勉強が捗りますね。

〇「脳のやる気」に火をつける

・いつでもどこでも、思い立ったときに勉強できるようにしておく「勉強部屋撤廃」のすすめ
・勉強までの障害はなるべく少なくする。

これは、私には合っていないようです・・・。いつも机に向かって勉強しました。ただ、机に向かうことが嫌なときはありました。リビングで勉強する子どもは少なくありませんが、本当に集中できれば、少々の雑音は聞こえなくなりますね。大音量でテレビを見ている横で勉強することはやめた方がいいと思いますが・・・。

・スキマ時間を勉強タイムに変える「メモ術」
・いつも手元にメモを置いておく。

私もメモを持ち歩いています。家にいるときは、何か思いついたら必ず近くの紙に書いてカバンすぐにカバンに入れます。(ポケットに入れてなくすことがあったので・・・)

〇 暗記物の勉強は「寝る前」にする

・睡眠中に、脳は情報を整理することに加えて記憶を定着させている。
・定着率を劇的に上げる「寝る前の10分間」復習法

寝る前に学習したことは、翌日、よく覚えているという実感がありました。正しい勉強法だったのですね。

〇 好奇心は「理由」から生まれる

・「何のために勉強するのか」を明確にしておく。
自分のなりたい理想の姿を考え続けることが、好奇心を持ち続けるためには非常に大切。
「その先の楽しみ」をもっともっと描く。

受験勉強のように長期間勉強を続けるには、モチベーションを持続させることが必要ですね。私も受験勉強のときには、「合格して◎◎大に通って・・・・」とイメージしましたし、夏休みには第1志望の大学に行き、学生生活をイメージし、モチベーションを高めました。

〇 全体像を把握してから細部にとりかかる

・例えば、「歴史」の勉強では、マンガやドラマなどを活用して全体像を把握する。その上で、詳しく学習すると、脳は全体の中で位置づけて受け取り、定着しやすくなる。

ECCベストワン本郷駅前校でも、「マンガ日本の歴史」が置いてあります。歴史が苦手な生徒には、まず全体を何回か読むように指導します。概略が把握できますので、その後の勉強がしやすくなります。

〇 「5分の予習」が結果を変える

・脳は「知っていること程好ましいと思う「(ファミリアリティ)という性質をもっている。なじみがあるものほど好ましく思い、結果的に定着しやすい。

予習型の授業を取り入れている個別指導塾が増えてきています。予習した上で学校の授業を受けることは、やはり定着しやすいのですね。

〇 海馬の使い方を変える

・「機械的暗記」から「連合暗記」(記憶するときに脳内にある情報と結び付けて覚える)
脳が覚えなければいけない情報量が激減するので、少ないエネルギーで多くのことを憶えることができる。(語呂合わせ)

歴史の語呂合わせ、元素記号の語呂合わせなど、私も活用してきました。英単語を意味が似ているものを関連付けて覚えることも「連合記憶」でしょう。

〇 「何度も繰り返す」はやっぱり必要?

・記憶を定着させるためには、繰り返すことがとても大切。
  ◎努力しない繰り返しの仕方

例:英単語の学習(就寝前)
1日目:英単語を10個覚える
2日目:1日目の10個を1~2分で復習。2日目の10個を覚える
3日目:1日目、2日目の20個を1~2分で復習。3日目の10個を覚える
4日目:2日目、3日目の20個を1~2分で復習。4日目の10個を覚える
※ 1回ではつながらなかったニューロンも、3日続ければつながる。

なかなか根気が必要ですが、大学受験前には膨大な量の英単語を覚えますね。1日10個の英単語では追い付かないでしょうが、基本的にはこのように繰り返していくことが必要でしょう。

◎ 論理的思考力を鍛えるには

・分からないときにすぐに答えを見ることはNG
考えるというプロセスによって、海馬だけでなく、前頭前野、側頭頭頂部が連携して働くようになり、論理的思考力が高まる。
10分、15分など考える時間をあらかじめ決めておき、その間はとにかく考え、時間が過ぎたら答えを見るようにする。

数学の証明などで、1時間近く考えることがあったのですが、やはり効率は良くないですね。時間を決めて解答を見る(それでも分からなければ解説をじっくりと読んで、自分でやってみることが大切だと思います)

まだまだ続きます。長くなるので、続きは次の機会に・・・。