本郷駅前校便り

子育て

「中 1 ギャップ 」 という用語の問題点

2020年11月13日

久しぶりに国立教育政策研究所のHPを見たところ、7月に「生徒指導リーフ」最新版が出ていました。抜粋を載せさせていただきます。

「中 1 ギャップ」 の語は、いわゆる 「問題行動等調査」 の結果を学年別に見 ると、小6から中1でいじめや不登校の数が急増するように見えることから使われ始め、今では小中学校間の接続の問題全般に「便利に」用いられています。
しかし、いじめが中1で急増するという当初の認識が正しいのか、不登校の中1での増加にしても 「ギャップ」 と呼ぶほどの変化なのかについては、慎重であるべきです。なぜなら、必ずしも実態を表現しているとは言い切れないからです。
とりわけ、その語感から、中1になる段階で突然何かが起きるかのようなイメー ジや、学校制度の違いという外的要因が種々の問題の主原因であるかのようなイメージを抱くと、問題の本質や所在を見誤り、間違った対応をしかねません。
便利な用語を用いることで、目の前で起きている問題を理解した気になってはなりません。実際に何が起きているのかを冷静に捉えることから始めましょう。
♦「中 1 ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない。
♦「中 1 ギャップ」に限らず、便利な用語を安易に用いることで思考を停止し、根拠を確認しないままの議論を進めたり広めたりしてはならない。

国立教育政策研究所は、児童生徒対象の質問紙調査の結果、いじめ経験率は小学生の方が高いとしています。
また、中1になっていきなり「不登校になる」割合は20~25%にとどまり、急増とは言えないとしています。
さらに、これらの中学校で顕在化する問題は、小学校から始まっている場合が少なくないとしています。

確かに、小学校から中学校に進学すると、私服から制服になり、学級担任制から教科担任制になるなど大きく環境が変わります。
子どもたちが環境の変化に戸惑うことは十分に考えられます。特に、発達障害のある子どもたちはこの環境の変化への対応が苦手だという特性があるため、戸惑いが大きくなることが考えられます。
しかし、小学校、中学校で勤務している教職員は、個別の教育支援計画、個別の指導計画(どちらも作成義務あり)を活用して、小学校から中学校へ引き継ぎ、教職員間で共有して懸命に関わっています。
また、スクールカウンセラーの助言によって関わり方を工夫しています。

学校の先生方の指導に疑問や不満がある場合には、遠慮なく学校に問い合わせることをお勧めします。
「クレイマーといわれるんじゃないかと思って相談できない」「成績が下がるんじゃないかと不安」という声も聴きますが、ご心配には及びません。先生や管理職に伝えることに抵抗があおりでしたら、「相談したいことがある」とスクールカウンセラーに打ち明けることも一つの方法です。スクールカウンセラーへの相談は無料で、多くの学校で予約制で、担当の先生か、教頭先生が窓口です。
お子様が学校で適切な指導・支援を受けることができるように、ご自分ができる方法を探してみましょう。
原文はこちらです  生徒指導リーフleaf15S